一遍上人は七百余年の昔、四国は愛媛県の道後の豪族河野家に生れました。幼くして出家法然上人の孫弟子に当る九州の聖達上人から浄土の教えを学ぶこと十二年。のちに善光寺に参り、念仏一筋のほかに自分の道がないことを悟ります。それから故郷の窪寺や岩屋寺にこもって 念仏三昧の生活を送り、ゆるぎない信仰を確立いたします。それからこの教えを総ての人々に広めようという念願をおこし、全国遊行の旅に出るのです。
信州・佐久では踊り念仏をはじめました。十六年間に、ほとんど日本国中を歩かれました。
上人は正応二年(1289)8月23日、神戸の観音堂(現・真光寺)で亡くなり、今もそこに御廟があります。またその伝記は国宝『一遍聖絵』にくわしく、教えは『播州法語集』としてまとめられております。