彼岸という言葉は仏教用語で、語源はサンスクリット語の「パーラミター」です。これを漢字にしたのが「波羅密多」で、到彼岸を意味します。到彼岸とは、彼岸に到るということで、悟りの世界へ到ることです。
人生には様々な困難があります。この困難を川にたとえると、最も大きな川は人間がもつ煩悩という川かもしれません。その川を渡り人生の最終目標である彼岸に至れ、と仏教は教えているのです。お彼岸とは、あの世のことではなく、この現実の世界を理想社会にすることなのです。
年間の先祖供養といえば、お彼岸、お盆、それに年回法要などがあります。お盆は年に一回、先祖が里帰りする日といわれています。
それに対してお彼岸には、先祖の眠る墓地に出かけ、お花やお供物、読経、塔婆建立などによって先祖の供養をするのがならわしとなっています。
ひと口に先祖といいますが、時代を遡ると想像を絶するほどの数になります。菩提寺には代々の先祖が眠っています。お彼岸には墓参をして先祖に感謝をするのです。そして自分もよりよき人になれるよう願うのです。
「私が、今、ここに生きていられるのは、ご先祖様のおかげ」なのです。 お彼岸はそれらのことを教えてくれる、日本独自の仏教行事でもあるのです。